研究概要 |
1.婦人科癌におけるEndothelin-1分解酵素であるNeutral endopeptidaseの機能解析 卵巣癌および子宮頸癌細胞において産生される活性ペプチドであるEndothelin-1が、癌細胞自身に発現する受容体に結合してオートクリン機構を介して癌細胞の遊走、浸潤を促進すること、および癌細胞に発現するEndothelin-1分解ペプチダーゼであるNeutral endopeptidase(NEP/CD10)が、Endothelin-1依存性の浸潤を抑制することを見い出した。In vivoマウスモデルにおいても、NEPを過剰発現させた卵巣癌および子宮頸癌の移植腫瘍の進展は、コントロール株と比較して有意に抑制され、NEPの婦人科癌への導入による遺伝子治療の可能性を示唆した。(Clin Cancer Res 11:,1798-1808,2005; Oncology 69;52-62,2005) 2.婦人科癌におけるAngiotensin II、その受容体および分解ペプチダーゼの意義 我々は昨年度までの本研究においてAngiotensin II分解ペプチダーゼであるAminopeptidase AおよびA-LAPが婦人科癌に発現して、その増殖や浸潤を制御していることを報告してきた。本年度の研究においては、卵巣癌組織におけるAngiotensin II受容体の発現量が、卵巣癌の血管新生に有意に正の相関を示し、患者の予後と相関することを見い出し、新たな予後マーカーとしての可能性を示唆した。またAngiotensin II受容体ブロッカーの投与により、マウスにおける卵巣癌腹膜播種を抑制できることをはじめて明らかにした。(Clin Cancer Res 11:2686-2694,2005; Br J Cancer 94:552-560,2006)
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