研究課題/領域番号 |
15591742
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
井篦 一彦 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60303640)
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研究分担者 |
吉川 史隆 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40224985)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | Aminopeptidase A / Neutral endopeptidase / Dipeptidyl peptidase IV / 細胞表面ペプチダーゼ / 婦人科癌 / Angiotensin II / 血管新生 / 腹膜播種 |
研究概要 |
本研究において、婦人科癌細胞および組織において4つの細胞表面ペプチダーゼであるAminopeptidase (APA)、Neutral endopeptidase (NEP)、Dipeptidyl peptidase IV (DPP IV)、Placental leucine aminopeptidase (P-LAP)について、その発現と機能解析をおこなった。NEPおよびDPP IVは子宮体癌や卵巣癌の腫瘍進展や病気の進行に伴ってその発現量は減少した。一方P-LAPは子宮体癌の進展に伴って発現が増加し、癌種に依存して各々のペプチダーゼは特異的に発現量が変化することが判明した。多数の臨床検体を用いた検討では、P-LAPの過剰発現は子宮体癌の予後の悪化によく相関し、再発の予後マーカーとなることが判明した。 一方、基礎的な実験では、APA、NEPおよびDPP IVを卵巣癌や子宮体癌に遺伝子導入するとin vitroにおける細胞遊走能や浸潤能が有意に抑制され、このことはこれらの3つのペプチダーゼのそれぞれの基質ペプチドであるAngiotensin II、Endothelin-1、ある種のケモカイン(SDF-1、RANTES)の分解、不活化を介することが判明した。ヌードマウスを用いたIn vivoの卵巣癌腹膜播種モデルにおいても、NEP導入またはDPP IV導入卵巣癌細胞株は、腹膜播種の減少と生存率の延長が認められた。最後にAngiotensin IIはその受容体であるAT1Rを介して、婦人科癌の浸潤や血管新生を著明に促進し、その特異的受容体ブロッカーや分解酵素であるAPAやA-LAPにより、腫瘍の血管新生や進展が抑制されていることが判明した。 以上より、細胞表面ペプチダーゼは婦人科腫瘍の進展に正または負に相関し、予後マーカーとして有用であること、さらにこれらのペプチダーゼの遺伝子導入や特異的阻害剤による新規治療の可能性が示唆された。
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