研究概要 |
最初にId-1遺伝子プロモーター(-1472bp)ルシフェレース遺伝子をRcho-1細胞に遺伝子導入し、正酸素下、低酸素下での未分化、分化による活性変化をルシフェレースアッセイを用いて検討した。正酸素下ではこの領域で分化に伴う転写活性の抑制が認められ、低酸素下では抑制が認められなかった。次に様々な長さのdeletion mutantを作成し、未分化状態における活性化の責任領域を検討した。-272bp〜-146bpに活性化部位が存在することが明らかとなった。この領域には、様々な転写因子の結合領域が存在する3領域(box1,2,3)が存在し、これらをもとにさらに短いdeletion mutantを作成したところ3つの領域すべてが、転写活性に関与することが明らかとなった。そこで3つの領域を1つずつ欠損したmutant(δ1,2,3)を作成し、どの領域が特に重要であるかを検討したところbox2領域(-203bp〜-179bp)が転写活性に特に重要であることが明らかとなった。box2には転写因子であるSP-1とNF-1の結合領域が存在しており、これらの因子が分化に伴うId-1遺伝子の転写制御に中心的役割をはたす可能性が考えられた。さらに分化した細胞にSP-1を過剰発現されると、Id-1遺伝子プロモーターは活性化され、SP-1がこのプロモーターの活性化に関与しうることが明らかとなった。現在、DAPAおよびEMSAを用いて、box2領域に結合する転写因子の解析・同定を試みている(以上の研究成果は、第76回日本内分泌学会総会、第11回日本胎盤学会総会、第55回日本産婦人科学会総会で発表)。なお、本年度購入予定であった3成分(N2-O2-CO2)インキュベーターは、医学部共同研究施設に代用可能な機種が導入されたため購入せず、その費用は薬品等の消耗物品購入に充当した。
|