【目的】 黄体の形成には、適切な血管網の構築が必要であるが、これには、血管新生のほかに血管の質的な変化、すなわち血管の成熟も重要である。そこで、ラットを用い、黄体内血管の成熟過程とその調節機構を検討した。 【方法と成績】 (1)血管の成熟過程を血管漏出性の変化により評価した。血管漏出性はEvans Blue (EB)を静注後、摘出した黄体より抽出したEB量を黄体の血管数で除したものとした。黄体内血管の漏出性は黄体期の初期に高値を示したが、中期に向かい低下し、その後は変化なかった。すなわち、黄体内の血管は黄体の発育と共に成熟することが明らかとなった。 (2)血管の成熟におけるAngiopoietin-1 (Ang-1)とAng-2の関与を検討した。免疫組織染色で両者とも黄体細胞に発現がみられ、特に、Ang-1は黄体期中期に強く発現していた。Ang-1 mRNA発現は、初期から中期にかけて増加したが、後期には低下した。一方、Ang-2 mRNA発現は、初期には高値を示したが中期以降は低値であった。 【結論】 以上より、黄体の発育に伴い、黄体内の血管は機能的に成熟し安定することが明らかとなった。さらに、この過程にはAngiopoietin系が関与することが示唆された。
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