研究概要 |
われわれはこれまでに種々の発癌関連遺伝子(c-src、c-erbB2、IGF-1)のトランスジェニックマウスを作成し,これらのマウスにおいて皮膚癌,胆嚢癌,前立腺癌などが発生することを明らかにしてきた。また、転写因子であるE2F1を過剰発現させたマウス(K5 E2F1トランスジェニックマウス)において子宮頚癌が発生していることを見いだした。一般に,良い動物モデルの条件としてはヒトの疾患に類似した性格をもつ必要があるが、このマウスに観察される子宮頚癌は次に挙げるヒト子宮頚癌とのいくつかの類似点を持つことがわかった。(1)病理組織学的に扁平上皮癌である。(2)前癌病変(高度異形成、上皮内癌)が観察される。(3)骨盤リンパ節に転移巣が認められる。これらのことよりK5 E2F1トランスジェニックマウスはヒトの子宮頚癌の良い動物モデルであることが示唆された。 現在,J5 E2F1トランスジェニックマウスにおける子宮頚癌の詳細な発生頻度などを解析中であり,大規模な解析結果は未だ出ていないが,いくつかの興味あるデータが出てきている。予想された通り同マウスに発生した子宮頚癌組織においてE2F1は過剰発現していることが確認された。また,同マウス作成に使用したプロモーターであるkeratin 5も過剰発現していることが明らかとなった。現在,同マウスを大規模に繁殖させ,子宮頚癌発生についての解析を進行中である。
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