研究概要 |
絨毛癌においてホモ欠失が観察されたヒト7番染色体長腕7q11.21領域に局在が確認されたクローン6-8HTF(human teratoma factor)12遺伝子は選択的スプライシングによるcDNA3つが存在する。このうち、最初に単離されたHTF12-2は絨毛癌細胞株へ導入すると細胞が合胞体化を示し、増殖、造腫瘍性が抑制された。このことからHTF12-2遺伝子絨毛癌の癌抑制遺伝子であることが推定された。cDNAライブラリースクリーニングによりサイズの異なるスプライシング変異が同定された。HTF12-1,2,3それぞれ、完全長cDNAを単離し、絨毛癌細胞CC1へそれぞれ導入した。トランスフェクタントの細胞形態、細胞増殖特性及び造腫瘍性を評価した。スプライシング変異の違いはドメインの個数の違いによる。前半部分のKRAVドメインと後半にC2H2を含む、Znフィンガードメインを持つが、主に後半部分が異なる。いずれも導入した細胞は合胞体化を示した。このHTF12遺伝子のKRAV-Znフィンガー構造を有する遺伝子は19番染色体などでクラスターを形成して存在することもわかった。そのため、7番のこの領域のHTF12についてHTF12特異的オリゴプローブによるin situハイブリダイゼーション法を行った。正常絨毛組織では、合胞体細胞での発現が確認され、細胞性絨毛細胞での発現は弱かった。絨毛外絨毛膜細胞、中間型細胞でも発現が認められ、合胞体化に加え、浸潤能にも関与している可能性が示唆された。
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