研究課題/領域番号 |
15591759
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松田 貴雄 九州大学, 大学病院, 助手 (10304825)
|
研究分担者 |
加藤 秀則 九州大学, 大学院, 講師 (60214392)
和氣 徳夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
|
キーワード | 胞状奇胎 / 絨毛癌化 / HTF12 / 雄核発生 / ホモ欠失 |
研究概要 |
HTF12遺伝子の発現状況確認のため、正常絨毛・流産絨毛及び胞状奇胎のサンプル収集を行った。収集された胞状奇胎のサンプル数は154例におよび、STRを用いた多型解析によりその由来を解析した。母胎血液より得られたDNAと奇胎組織より得られたDNAを用いて8ローカスの多型部位での繰り返し配列の個数の比較により、母体組織由来の成分の有無を判定した。母体に由来しないアリルによってのみ構成される雄核発生に由来する奇胎は120例に及び、これまで肉眼的に水腫化した嚢胞の大きさによって診断されていた診断基準が遺伝的な解析と適合しないことが判明した。つまり、大きさにより奇胎でないと肉眼的に判断された44サンプルのうち、実に26例が雄核発生を示した。分子生物学的に正常絨毛、流産絨毛、部分奇胎、全奇胎の分類を改めて行った。これまで、肉眼的な分類での検討のため、例外的な発現状況を示していた可能性もあるため、それぞれの群間であらためてHTF12領域の欠失について検討を行った。この結果、正常絨毛・流産絨毛・部分奇胎、全奇胎ではHTF12遺伝子に欠失は認められなかった。HTF12のホモ欠失は、絨毛癌に認められることになり、HTF12遺伝子は絨毛が奇胎化することとは関係なく、絨毛、奇胎に関係なく直接的により癌化、悪性化に関与するものであることが示唆された。このため、これまで全奇胎は高率に癌化すると考えられていたが、正常妊娠からの絨毛癌発生も少なくないことを含めて考えると直接癌化に導く遺伝子の存在が考えられてきたので、この結果は納得のいく結果と思われる。
|