Thrombospondin(TSP)は、トロンビン刺激により血小板から放出され、分子量約150kDaの同一鎖の三量体からなる糖蛋白であり、細胞外マトリックスとして存在し、血小板凝集、血栓形成のみならず、細胞接着、遊走、創傷治癒、癌の転移、造血などの多くの生理的、病的反応に関与することが明らかとなっている。今年度は採取した子宮内膜より子宮内膜間質細胞の分離・培養を行い、TSP-1の産生の検討を行った。 TSP-1 mRNAの発現はnorthern blot analysisにより、interferon(IFN)-γの添加で濃度依存性に促進され、またepidermal growth factor(EGF)添加で産生が濃度依存性に抑制された。TSP-1蛋白の産生はwestern blot analysisを用いて検討し、IFN-γの添加で促進され、またEGF添加で産生が抑制されることが確認できた。また、human chorionic gonadotropin(hCG)とcAMPを添加し、子宮内膜を脱落膜化させて、TSP-1 mRNAの発現調節を検討した。脱落膜化の指標として培養上清中のプロラクチンを測定し、脱落膜化によりTSP-1 mRNAの発現は促進された。 子宮内膜の脱落膜化は血管新生に促進的に作用すると考えられる一方で、脱落膜化によりTSP-1の発現も認められたことから、血管新生抑制因子も産生が促進されることより、脱落膜において血管新生制御因子のネットワークが存在する可能性が示唆された。TSP-1が子宮内膜において生理的に血管新生にどのような影響を及ぼしているのか、現在検討中である。
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