研究概要 |
目的:加齢や閉経により筋肉量や骨塩量(BMD)は減少する。運動は筋肉量やBMDに良い影響を及ぼす。運動の程度は身体各部位により異なることから、加齢や閉経に伴う筋肉量やBMDの減少も身体各部位により異なる可能性がある。そこで加齢や閉経に伴う身体各部位の筋肉量やBMDの滅少が相互にどのように関連しているかを検討した。 対象と方法:右利きの420例の有経女性と239例の閉経女性(30-79歳)を対象とした。年齢、身長、体重、body mass index (BMI)を調査した。左右上肢、躯幹、左右下肢の筋肉鍛とBMD(躯幹はL2-4)をDEXA (QDR 2000)で測定した。身体各部位の筋肉量/身長を求めた。これらの因子と年齢との関連をピアソンの相関係数で求めた。 成績:1)身長は年齢と負の相関を示した(r=-0.468,P<0.001)。2)躯幹、左右下肢の筋肉量は年齢と負の相関を示した(それぞれr=-0.184,-0.219,-0.222,p<0.001)が、左右上肢の筋肉量は年齢と何ら相関を示さなかった。3)身体各部位の筋肉量/身長も2)の解析と全く同様の結果であった。4)身体各部位のBMDは、すべての部位で年齢と負の相関を示した(p<0.001)が、身体各部位の筋肉量とは躯幹、下肢のみで正の相関を示した。 結論:加齢や閉経による筋肉量の減少は躯幹と下肢にのみ認められ、上肢には認められなかった。このような相違には身体各部位の運動量に差があることが関与している。身体各部位の筋肉量とBMDには密接な相関があることが示されているが、加齢や閉経による上肢のBMDの減少にはその部位の筋肉量の減少は関与していない。
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