| 研究概要 |
近年,細胞外マトリックスは組織の形態を維持し細胞増殖の足場となるのみならず,細胞の成長,機能分化に重要な役割を担っていることが明らかにされている.一方,子宮内膜は卵巣性ステロイドの周期的変化により,増殖,分化し,周期的変化を繰返し,妊娠の成立や黄体ホルモンの負荷により脱落膜化する.子宮頚癌症例の手術時に正常周期子宮内膜を採取する.また正常妊娠脱落膜および絨毛組織を人工妊娠中絶時に,流産症例脱落膜組織および絨毛組織を子宮内容除去術時に採取する.
採取した子宮内膜、脱落膜組織および絨毛組織を採取後即座に液体窒素により凍結し,3μm厚の新鮮凍結切片を作成し,冷アセトンにて固定後,新規作製のヒトXVI型およびXVIII型コラーゲンに対する特異的モノクローナル抗体を一次抗体とした間接蛍光抗体法を施行し,局在を検討した.月経周期を通じて子宮内膜の内膜腺や血管の基底膜にヒトXVI型およびXVIII型コラーゲンの局在を認め、また正常妊娠脱落膜では脱落膜細胞を取り囲むような局在を認めた。また自然流産の脱落膜では脱落膜細胞の周囲のこれらコラーゲンの免疫反応の低下を認め、これらヒトXVI型およびXVIII型コラーゲンの発現が妊娠の継続に何らかの役割を呈することが示唆された。
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