1.正期産の羊膜上皮細胞の微細形態を明らかにした。 これまで、羊膜上皮細胞は細胞質の明るさと細胞内小器官形態を異にする2種の細胞から成るとする説、2種の細胞は存在せず1種の細胞のみから成るとする説、の2説が唱えられ決着がつけられていなかった。早産での羊膜細胞の形態を追求する過程で、この問題は解決しておかなければならない重要な問題である。今年度はこの問題を解決した。羊膜上皮細胞を化学固定すると細胞質の明るい細胞と暗い細胞が観察された。しかし、酵素組織化学により複数の酵素を電顕観察してみると、それら酵素活性パターンには細胞間で差がなかった。また、トレーサー透過性にも差を認めなかった。さらに、細胞内小器官を定量解析したところ、小器官の数と形態にも差がなかった。以上から羊膜上皮細胞は形態的には単一の細胞から構成されることが判明した。 2.glucose-6-phosphate dehydrogenase (G6PD)は白血球の貪食能に関与し、他の貪食細胞でもその貪食活性化の指標とされる。そこで、胎盤卵膜マクロファージ活性化指標としてG6PD細胞化学が有効か否かを検討するために、組織マクロファージである肝臓Kupffer細胞でのG6PD活性を電顕酵素組織化学的に捕捉同定した。活性局在はラットのKupffer細胞の細胞質内にあり、特に小胞体外側面に強い酵素活性染色を認めた。G6PDが組織マクロファージでも組織化学的に単一細胞レベルで検出され、本酵素の組織化学が貪食活性化指標となり得ることを明らかにした。
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