研究概要 |
1)ヒト精子プロテオームマップ作成 ヒト健常ボランティア精子より抽出した蛋白質抽出液について、IEF、IPG両法による2次元電気泳動後で得られたスポットを気相プロテインシーケンサーおよび飛行時間型質量分析計を用いてN末端アミノ酸配列解析および質量分析によるタンパク質の同定をおこなった。等電点3.5-9.0,分子量10-200kDaの範囲にクマシー染色レベルで564個の独立したタンパク質スポットが認められ,N末端アミノ酸配列解析の結果6スポットが,また質量分析で解析した115スポット中,39スポットがgenebankに登録されているヒトタンパク質と高い相同性を示した. 2)ヒト精子抽出タンパク質の2次元電気泳動による発現パターンの差の検出感度の検討 総精子数5000万からの抽出タンパクを2次元電気泳動後,銀染色で約60個のスポットが明瞭に認められ,3スポットについては検体による発現量の差が明らかであった.このことから5000万の精子から抽出したタンパク質の2次元電気泳動解析にて個体差が解析可能であり,差がみられた各スポットのタンパクについてアミノ酸配列分析と質量分析により同定をすすめている. 3)凍結融解による精子膜タンパク抽出タンパクの変化 ヒト精子を用いて、1)で用いた抽出条件によりa)新鮮精子、b)a)と同一検体をKS凍結保存液を用いて凍結融解した精子、各5000万個から蛋白を抽出し、2次元電気泳動を行ったゲルパターンを検討した。銀染色でゲルパターンを比較したところ、カルレティキュリンと考えられるスポットを含む3スポットで、凍結融解後の抽出タンパク量増加が見られた。
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