研究概要 |
大腸菌に強制発現させたhGCMa/1タンパク質を精製し,これを抗原にしてウサギポリクローナル抗体を作製した。この抗体はウエスタン法で大腸菌や昆虫Sf21細胞に強制発現させたhGCMa/1やヒト胎盤のhGCMa/1だけでなく,マウス胎盤の同タンパク質をも認織した。この抗体を使って組織検索を行ったところ,hGCMa/1は胎盤のcholionic villiにのみ存在していること,hGCMa/1とhGCやエストロゲン合成酵素の局在の一致していることが明らかになった。これはhGCMa/1が,発達した胎盤がつくるhGCやエストロゲン構成酵素などのタンパク質の発現を支配するというこれまでの研究成果を強く支持するものである。 ポリクローナル抗体では今後の研究の継続的な使用に難があるため,hGCMa/1に対するマウスモノクローナル抗体の作製を試みた。その結果,大腸菌や昆虫Sf21細胞に強制発現させたhGCMa/1,並びにヒトとマウスの胎盤のGCMa/1を認識するモノクローナル抗体を2株得ることができた。これらモノクローナル抗体の性質については現在検討中である。この抗体がマウスのGCMa/1も強く認識することから,マウスで胎盤以外の組織での発現についても検討中である。 ヒトCancer Arrayを用いて,ヒトの正常・腫瘍組織での本タンパク質mRNAの発現状況について検討した。その結果,hGCMa/1 mRNAの発現は極めて局在しており,正常組織では胃や卵巣の一部に検出されるのみであった。また,強く発現している直腸がんが1例あった。 ニワトリのGCMオーソログをcDNAライブラリーからクローニングし,塩基配列を決定した。ニワトリの胚発生期における発現分布をRT-PCR法で調べたところ,GCMオーソログは初期胚外組織に局在することを見つけ,ヒトとニワトリでの機能の共通性が強く示唆された。
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