研究課題/領域番号 |
15591787
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
植田 政嗣 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (50223467)
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研究分担者 |
寺井 義人 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90278531)
熊谷 広治 大阪医科大学, 医学部, 講師
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キーワード | 難治性婦人科癌 / 血管新生 / 浸潤・転移 / アポトーシス / 分子標的治療 |
研究概要 |
本研究では、難治性婦人科癌の発育・進展に関わる血管新生因子の生物学的意義を解析するとともに、新たな分子標的治療によるその制御を目指して研究を遂行している。平成15年度は、まず婦人科癌培養細胞における血管新生因子、アポトーシス関連因子、浸潤形質規定因子の遺伝子発現をReal-Time PCR法で、プロテアーゼ活性をzymographyで、浸潤能をhaptoinvasion assayで評価し相互の関連性を検討した。また、婦人科癌の手術摘出組織における上記各因子の蛋白発現や腫瘍内微小血管密度をABC法で、apoptotic indexをTUNEL法で検討し、臨床病理学的因子や予後と対比した。その結果、頚癌や卵巣癌におけるvascular endothelial growth factor(VEGF)-Cの遺伝子発現がmatrix metalloproteinase(MMP)-2を介する浸潤動態と密接に関連し、血管新生能の亢進と癌細胞のアポトーシスからの回避が予後に影響することが判明した。一方、その制御を目指してTaxane製剤の抗血管新生作用に着目し、Taxolの血管内皮細胞に対する生理作用とともに、卵巣癌細胞の浸潤動態に与える影響を基礎的に検討した。その結果、Taxolは極めて低濃度で血管内皮細胞の増殖や遊走を阻害しVEGFとも拮抗した。また、Taxolは臨床的血中到達濃度で卵巣癌細胞の血管新生因子産生能や浸潤能を抑制した。したがって、今後本剤は投与法を工夫することにより、難治性卵巣癌の抗血管新生療法に用い得る可能性があるものと考えられた。現在その標的分子を詳細に解析中である。
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