研究分担者 |
堀井 明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40249983)
長坂 浩 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (70217983)
千葉 敏彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70280881)
古川 徹 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30282122)
|
研究概要 |
これまで頭頸部扁平上皮癌患者130例を対象としてALDH2遺伝子の多型性の検討を行った。その結果ALDH2 1/1が72例、ALDH2 1/2が56例、ALDH2 2/2が2例であった。ALDH2 1/1群(野生型)とALDH21/2+ALDH2 2/2群(変異型)では有意差はないが変異型に進行癌が多い傾向を認めた。9p21LOHとの相関はなかったがp53遺伝子について野生型ではLOH陽性率が58%(33/57例)だったのに対して変異型では77%(36/47例)であり有意に変異型の方が高かった(P=0.045)。また有意差はないが3p21 LOHの陽性率も変異型の方が高かった。さらにKaplan-Meier法を用いて生存率曲線を求めると、変異型の方が予後が悪い傾向にあった。これらの結果から発癌におけるアルコール=アルデヒドの作用が特定の遺伝子変異を介している可能性が示唆され、さらに頭頸部扁平上皮癌患者ではその悪性化にも関与している可能性が示唆された。 この他喉頭癌の放射線治療の予後予測として、放射線耐性とBc12蛋白の発現が良く相関していることを明らかにした(Ogawa T, Shiga K, et al. Oncology Reports, 10)。また頭頸部癌細胞のCDDP耐性機構を明らかにする目的でmicroarrayを用いた研究を行っているが、その準備としてapoptosisの際の分子変動を検討した(Ogawa T, Shiga K, et al. Biochem Biophys Res Commun, 306)。さらに頭頸部多重癌がmultifocal発生していることをLOHを用いて証明した(Shiga K, Ogawa T, et al. Anticancer Res, 23)。これらはいずれも頭頸部扁平上皮癌の発癌の基礎的研究であるが臨床への応用を見据えているものである。
|