研究課題/領域番号 |
15591798
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 健 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50251286)
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研究分担者 |
松井 稔 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50282611)
岩崎 真一 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10359606)
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キーワード | ムスカリン受容体 / サブタイプ / ノックアウトマウス / パッチクランプ / 聴性脳幹反応(ABR) / 内耳単離細胞 / ラセン神経節 |
研究概要 |
ムスカリン受容体にはサブタイプm1-m5の5種が存在する。これら5つの各サブタイプのノックアウトマウスを用いて、末梢聴覚におけるムスカリン様受容体を介する調節のメカニズムを、in vitroおよびin vivo実験によって明らかにすることが本研究の目的である。本年度は実験をスタートさせ、方法・手技を確立することを目標とした。その為、まずは、最も有望と考えられるm3ノックアウトマウスおよびそのワイルドタイプを用いた。In vitro実験では、マウスのラセン神経節細胞を単離し、これをパッチクランプするために、細胞単離の方法の決定と、パッチクランプシステムの立ち上げを行った。単離手法としては、モルモットで用いていたコラゲナーゼを用いて分離する方法、主に機械的に分離する方法、ラットで用いていたトリプシンを用いて分離する方法等を試行した結果、トリプシンを日齢に応じて増減して使用するのが良いという結果を得た。パッチクランプシステムにおいては、旧式の記録アンプを新しいものに置き換え、全体の接地・ノイズ除去を試行錯誤で行い、当初ナノアンペアレベルであり微細な記録が不可能であったノイズを大きく減らすことができた。また、薬剤をピペットから瞬間的に噴出させて極短時間投与するシステム・溶液の還流システムを導入し、パッチした細胞に薬剤を極短時間作用させ記録することができるようになった。このシステムの立ち上げには、より操作が容易なモルモットのコルチ器単離細胞を用いた。In vivo実験としては、成熟個体を用いてABRによる聴覚閾値検査を行い、少なくとも生後3ヶ月まではワイルドタイプとm3ノックアウトマウスでは聴力に違いがないことを確かめた。更に加齢による変化を追跡する。耳音響放射システムは部品を購入し、現在構築途上である(入出カプログラムを作成中)。また、内耳の組織学的検討を行う準備を整えた。
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