研究概要 |
検討課題:LPS全身投与による蝸牛、内リンパ嚢のマクロファージ、CD4、CD8陽性細胞の分布、数の変化 LPSの腹腔内投与生後8週の雌ルイスラットを塩酸ケタミンとキシラジン塩酸塩からなる小動物用麻酔カクテルによる深麻酔下にLipopolysaccharide(LPS) from Esherichia coli serotype 0127:B8)(SIGMA,St Louis, MO. USA)1mgを1mlの生理食塩水に溶解し腹腔内投与した。投与前(正常コントロールラット3匹)、投与後48時間(5匹)をPLP固定液periodate-lysine-paraformaldehyde、(paraformaldehydeの最終濃度は4%)によって全身還流固定した。固定後ただちに蝸牛を摘出し5%ethylenediamine tetraacetate(EDTA)で4週間脱灰した後にO.C.Tコンパウンド(Tissue-Tek ; Miles Inc., Elkhart, IN, USA)に浸漬しその後-70℃に急速凍結し厚さ4μmの連続切片を蝸牛軸に平行に作製し、まずHE染色にて蝸牛内リンパ嚢を観察した。続いてED1:マウス抗ラット組織単球、マクロファージ抗体(Dainippon Seiyaku)を一次抗体に用いて免疫組織化学的に観察した。 結果: 正常コントロールラットでは蝸牛数切片に1枚ほどの割合で鼓室階前庭階に小円形細胞がみられた。この小円形細胞は抗ED-1抗体で陽性に染色されるため単球、マクロファージである可能性があるがこれまでの他施設からの報告と異なるため他のアプローチによる検証が必要と考える。同様な染色を示す細胞は蝸牛軸血管叢、内リンパ嚢perisaccular areaにもみられたが内リンパ嚢saclumenにはみられなかった。LPS腹腔内投与後48時間の内耳は、まずHE染色にて観察した結果蝸牛内鼓室階、前庭階、蝸牛軸血管叢小円形細胞はその数を増し各切片に数個の小円形細胞が観察された。一方内リンパ嚢においては一見して細胞数が増加しているとする所見は得られなかった。免疫組織化学的に抗ED-1抗体陽性細胞の検索中である。さらなる動物数の増加と、抗ED-1抗体以外の抗体による免疫粗織化学的検討を現在進行中である。
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