研究概要 |
(1)気道上皮のアレルギー性炎症におけるプロスタグランディンE2の作用について Ovalbuminを用いて作成したラット鼻粘膜上皮のアレルギー性炎症モデルにおいて、4種類のEP-agonistを皮下投与して、鼻粘膜上皮における粘液産生や好酸球浸潤に及ぼす影響を検討した。 その結果、EP-4 agonistはアレルギー性炎症における鼻粘膜上皮の好酸球浸潤には影響を与えないが、杯細胞化生や粘液産生を濃度依存性に抑制した。こうした作用はEP-1,2,3のagonistでは認められず、EP-4の抗原チャレンジ時のみの投与でも認められたが、腹腔内感作時のみの投与では影響を与えなかった。以上の結果より、PGE2がEP-4受容体を介して気道のアレルギー性炎症を抑制する可能性が考えられた。 (2)LPS刺激による気道炎症に対するプロスタグランディンE2の作用について LPS刺激によるラット鼻粘膜上皮の炎症モデルにおいて、4種類のEP agonistを皮下投与して、鼻粘膜上皮における粘液産生や好中球浸潤に及ぼす影響を検討した。さらに、ヒト鼻粘膜上皮細胞やNCI-H292細胞の培養モデルで、各種のサイトカイン分泌に及ぼすEP agonistの影響をELISA法で検討した。 その結果、LPS刺激によるラット鼻粘膜上皮の好中球浸潤と杯細胞化生・粘液産生はEP-4 agonistによって濃度依存性に抑制された。EP-1,2,3のagonistではこうした作用はなかった。LPS刺激による培養上皮細胞からのIL-8分泌や粘液分泌はEP-4 agonistにより有意に抑制されたが、IL-6やGM-CSFの分泌には影響を与えなかった。以上の結果より、PGE2が気道上皮細胞に直接作用して、LPS刺激による気道炎症を抑制する可能性が考えられた。
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