三重大学医学部耳鼻咽喉科外来に通院するアレルギー性鼻炎患者で免疫療法(減感作療法)を行った患者を対象に、ヒスタミン遊離試験を行い、好塩基球からの抗原誘発によるヒスタミン遊離率を検討した.本研究にあたり外来患者からのヒスタミン遊離試験の倫理性につき三重大学医学部倫理委員会にて審議され承認を得た(承認番号367)。スギ花粉症患者で免疫療法開始前と治療開始6ヶ月後のヒスタミン遊離率を検討した結果では、治療によりヒスタミン遊離率の抑制が全例で認められている。この結果をもとに2シーズンにわたる花粉飛散期の症状とヒスタミン遊離率を検討すると興味深い結果を得た.アレルギー性鼻炎の即時相反応であるくしゃみの回数とヒスタミン遊離率抑制には強い相関関係があり、免疫療法の著効例で強く抑制された。ヒスタミン遊離率はスギ花粉抗原誘発による反応を抑制したばかりでなく、非特異的反応である抗lgE抗体によっても抑制された。このことは、抗原抗体反応を抑制したものではなく、好塩基球自体の抗アレルギー反応の抑制をしめし、細胞膜の安定性も考えられる。免疫療法のバイオマーカーは存在せず、その手法は急務な課題であり、本法は外来レベルで手軽に利用できる有用な方法と判断した。 2004年及び2005年春のスギ花粉飛散数を測定した。三重大学医学部内に設置したダーラム型花粉収集器で1月1日からのスギ花粉飛散数を連日測定した(測定継続中)。2004年は少量飛散であるため症状に乏しく、検討し難い年であったが、2005年は大量飛散している。2005年の検討は飛散形態から3月から4月の検討となり、この結果は継続して次年に報告する。
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