研究概要 |
我々は、神経幹細胞特異的マーカーの一つであるMusashi1のマウス内耳における発現を調べてきた。Musashi1はyoung adult mouseの内耳においてラセン神経節、前庭神経節と感覚上皮に発現が見られ、感覚上皮では免疫染色によって支持細胞特異的にMusashi1陽性細胞が認められた。この結果は、Neuroscience Letters 354(2004),201-204.に掲載された。 研究分担者の岡野らはMusashi1はNumbの機能を阻害することでNotchを活性化することを発見した。従って我々はMusashi1の内耳での発現が、内耳の形態形成、機能獲得、さらには障害後の再生においてどのような意味を持つかについて検討するためには、ほ乳類内耳におけるNotchシグナル伝達系の役割をさらに詳細に調べる必要があると考えた。実際これまでJagged2-ノックアウトマウス等を使った種々の機能阻害実験によって内耳感覚上皮の有毛細胞と支持細胞のモザイク構造の形成にはNotchシグナル伝達系が重要な役割を果たすことが示唆されてきた。 我々はリガンドによって活性化されたNotch1(actN1)に特異的な抗体を用い、胎生後期から生後にかけてのマウス内耳でのNotch1活性化について明らかにした。Notch1は支持細胞に分化予定の細胞群で一過性に強く活性化され、また有毛細胞へ分化予定のMath1陽性細胞では決して活性化はみられなかった。これらの結果は第14回日本耳科学会総会・学術講演会(平成16年10月21日-23日、京都)、2005 ARO Midwinter Research Meeting(Feb.19-24,New Orleans, U.S.A.)で発表した。
|