研究概要 |
Aquaporin2(AQP2)とrenal-type vasopressin receptor(V2-recepter)は蝸牛では血管条、基底細胞に、内リンパ嚢ではintermediate partの上皮細胞に局在することが組織科学的に判明した(投稿中)。また、血管条基底細胞とギャップ結合でつながっている中間細胞にAQP1が局在することが免疫電顕で確認された(Hearing Res 181:15-9,2003)。よって、血管条では基底細胞と中間細胞が一体となって水の通路になると考えられる。膜タンパクであるAQP3は内リンパ嚢のintermediate partに発現することが組織学的に確認されたが、膜上皮での局在部位については未解明に終わった。 以前の実験で、内耳のAVP-AQP2 systemは機能しており、内リンパ腔の水代謝に重要な役割を演じることが予測されていた。今回の実験系でも、V2-antagonistの負荷で内耳虚脱が誘発され(Hearing Res 182:9-18,2003)、AVP-AQP2 systemのsignal伝達の阻害剤であるlithiumを負荷すると、AQP2 mRNA、AQPタンパクの発現が抑制され、内耳も虚脱する事が確認された(本年4月の国際メニエール病シンポジュウムで発表予定)。以上の成果より、内耳AVP-AQP2 systemを制御することにより内リンパ腔容積はコントロール可能で、内リンパ水腫が病態の本態であるメニエール病の治療に本研究結果は応用可能であると考えられた。
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