研究課題/領域番号 |
15591823
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
松根 彰志 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (00253899)
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研究分担者 |
黒野 祐一 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80153427)
相良 ゆかり 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (90347112)
林 多聞 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (50381158)
吉福 孝介 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (70381168)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | NF-κB / Decoy oligo / 遺伝子治療 / 滲出性中耳炎 / 慢性副鼻腔炎 |
研究概要 |
本研究において、まず滲出性中耳炎、慢性副鼻腔炎におけるNF-κBの役割を検討した。アデノイド線維芽細胞から発現するIL-8は、TNF-αにより、発現が増強する。また滲出性中耳炎患者の上咽頭のIL-8発現は滲出性中耳炎患者の鼓膜コンプライアンスと相関を示し、滲出性中耳炎の病態の一因として、IL-8が関与している可能性が示唆された。慢性副鼻腔炎患者における鼻茸線維芽細胞から産生されるVCAM-1はTNF-α、IL-4刺激にてその発現を増強する。アデノイド線維芽細胞におけるIL-8の発現、鼻茸線維芽細胞におけるVCAM-1の発現はいずれも転写因子であるNF-κBを介して発現されることが確認された。 NF-κBはこれらの病態に対しての治療戦略となることが期待され、NF-κBを特異的に抑制するために、転写因子にたいするDecoy oligoを用いての研究を進めた。Decoy oligoを細胞内に導入し、NF-κB特異的な抑制を検討するために、患者から採取したアデノイド線維芽細胞をもちいて導入実験を行ったが、安定した導入効率を得ることが出来なかった。導入の効率化をはかり、liposome法、センダイウイルスベクター法を用いて、検討を行ったが、何れの方法にても再現性のあるデータを得るにはいたらなかった。 滲出性中耳炎動物モデルをマウスにて作成したが、滲出性中耳炎モデルとしての確立にはいたらなかった。 本研究は、NF-κB decoy oligoを用いての滲出性中耳炎、慢性副鼻腔炎への治療応用を目的としたものであったが、培養細胞レベルにてのdecoy oligoの作用の確認と動物モデル作成へむけての今後のさらなる研究が必要である。しかしながら、滲出性中耳炎、慢性副鼻腔炎におけるNF-κBの役割を解明できたことは、NF-κBがこれらの疾患の治療戦略として重要であることを示唆しており、Decoy oligoによる治療法確立にむけさらなる研究が必要であると考えられる。
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