研究概要 |
申請者が確立した内耳発達段階、胎生12日目の耳胞および生後1日目のラセン器より蝸牛外有毛細胞、支持細胞の前駆細胞候補の各々セルラインから遺伝子学的及び形態学的、生理学的に検討しその性格を決定した細胞を、DMEMを基本とする培地にて培養し、その細胞においてID遺伝子をsiRNA(short interfering RNA)法にてブロックした。(小関担当)、これにより細胞を分化を誘導した。その遺伝子操作した培養細胞から再度、RNA抽出して、RT-PCRを用いて有毛細胞マーカー遺伝子オンコモヂリン、カルレチニン、マイオシン7a、幼若神経細胞マーカー遺伝子ネスチンの遺伝子発現状況を検討した。In vitroで移殖前細胞への影響および細胞の分化度を検討した。(小関担当)また、今回我々は、Id1遺伝子を分子生物学的に操作することによりセルラインにおいてDNAの合成を制御した。前述の内耳前駆細胞を使用し、その細胞にId1遺伝子を導入、または阻止RNA(short interfering RNA)によりKnockdownした。その後^3H-thymidineの取り込みの計測と、フローサイトメーター、細胞数の計測により、細胞の増殖量を評価した。 Id1遺伝子を導入した後は、細胞数、^3H-thymidineの取り込みもコントロールと比較して明らかに増加した。また阻止RNA(short interfering RNA)によりKnockdownした後の細胞数、^3H-thymidineの取り込みもコントロールと比較して明らかに減少した。またフローサイトメーターでもG2/M,S期の細胞の減少が認められた。Id1遺伝子を内耳前駆細胞セルラインで操作することにより細胞の増殖制御が可能であることが明らかになった。
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