研究概要 |
喫煙と飲酒は頭頸部扁平上皮癌の危険因子と疫学的に確認されており、煙草煙内の発癌化学物質とエタノールがその原因物質とされいてる。これらの物質に対する発癌感受性は遺伝的に規定されており個人差があることが判明しつつある。この感受性を規定する因子は1,発癌物質代謝機能、2,DNA修復機能、3,細胞周期制御機能である。これらの機能を規定する複数の遺伝子には多型の存在が確認され、その機能が解明されつつある。これらの遺伝子多型を解析し頭頸部癌の遺伝的な危険群を明らかにすることを計画した。 以下に修復遺伝子の検討結果を示す。煙草煙内に含まれる代表的な発癌物質であるベンツピレンによるDNA損傷の修復に関与するXPD遺伝子には多型が知られており、修復能に差があることが判明したいる。XPD遺伝子のexon23 codon751(T→C Lys→Gln)におけるSNPを末梢血から採取したDNAからPCRを用いて検出し、正常型(修復能100%)、ヘテロ(修復能93%)、変異型ホモ(修復能88%)に分類し喫煙と喉頭癌の発症の関連を検討した。対象は同様の喫煙歴を持つ喉頭癌患者54例と健常人31例とした。喉頭癌患者の結果:正常型(90.3%)、ヘテロ(9.7%)、変異型ホモ(0%)、健常人の結果:正常型(92.6%)、ヘテロ(7.4%)、変異型ホモ(0%)と両群間に有意な差はなかった。以上よりXPD遺伝子多型単独では喉頭癌の危険因子とならないと判断した。
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