研究概要 |
1)実験的内リンパ水腫動物モデルの作製 実験動物は200-300gのWistar系ラットを用いた。Vasopressin : AVP, pitressin : Arg-Vasopressin, Sankyo, Japanを0.0002units/g,0.002units/g,0.02units/gの量をラットの腹腔内に段階的に投与することによって作製した。 2)脱水負荷 後述の実験を行う前に脱水負荷を行った。24hr,48hr,72hrの3段階の飲水制限により脱水負荷を行った。 3)実験的内リンパ水腫動物モデルの蝸牛内リンパ直流電位(EP)の測定 内リンパ水腫発生過程での蝸牛内リンパ直流電位を経時的に測定した。脱水負荷後、ネンブタールによる麻酔後に、中耳骨胞を開放し蝸牛を明視下におき、第2回転外側壁の骨を注意深く削除し、微小ガラス電極を挿入し、各容量のAVPを投与することによるEPの変化を観察した。 脱水負荷を行わないコントロール群でも同様にEPの変化を測定した。両者ともAVPを投与することによりEPは低下することが確認された。また脱水負荷群ではより低容量のAVPでもEPは低下する傾向にあった。このEPの低下は前年度の我々の研究として行ったAVP投与後にABR閾値は上昇(聴力の低下)することを指示するものであった。EPの変化は聴覚に直接的に関与する電位であり、今後AVPの投与によりEPが低下するメカニズムを解明する。
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