研究課題
基盤研究(C)
メニエール病組織にみられる内リンパ水腫は内耳膜迷路おける水輸送の調節障害の結果、内、外リンパ液のイオン代謝の恒常性機構の破綻のして生じる形態学的な変化と考えられる。近年、内リンパ水腫の発生にVasopressinの関与が示唆される動物実験、臨床研究が多数報告されている。これまでの報告(平成13年度-平成14年度科学研究費補助金(基盤研究(C(2)):13671797)における実験的Vasopressin投与動物において、Vasopressinの投与後に一側の聴力が低下し、またその低下した聴力に回復がみられたが、この聴力の低下のメカニズムを解明することが本研究の目的である。この実験に使用したVasopressinの投与量は、0.02units/gであるが、まずこの投与量で形態学的に内リンパ水腫所見(蝸牛のライスネル膜の鼓室階側への膨隆)が確認できるかどうかについて検討した。その結果、本投与量では光顕レベルでは形態学的には内リンパ水腫は形成されなかった。このことから明らかな内リンパ水腫の形態学的所見がなくても、聴力は低下したことを示しており、聴覚の低下は内リンパ水腫という形態学的な変化を介しない生理学的な異常に原因を求める必要がある。そこで、聴覚に最も影響のある生理学的変化として蝸牛内リンパ電位(EP)を選び、Vasopressin投与後に(cochlear endolymphatic D-C Potontial : EP)が変化するかどうかを検討した。その結果Vasopressin投与後12例中7例で約2-10分後にEPは有意に低下した。Vasopressinの過剰投与は初期の段階で血管条の機能を変化させEPを低下させ、聴力も低下させるものと考察した。今後Vasopressin投与後の血管条機能、形態を詳細に検討する。
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Annals of otology, Rhinology, Laryngology 114-12
ページ: 934-938
Annals of otology, Rhinology, Laryngology 112-5
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Annals of otology, Rhinology & Laryngology No.112
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