研究課題/領域番号 |
15591852
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大黒 伸行 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00303967)
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研究分担者 |
宮坂 昌之 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50064613)
山嵜 登 産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員 (50358248)
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キーワード | ドラッグデリバリーシステム / 標的指向性リポソーム / シアリルスイスX / セレクチン / 実験的ぶどう膜炎 |
研究概要 |
結果1:EAUマウスおよび正常マウスに対し、糖鎖+リポソーム、糖鎖-リポソームをそれぞれ投与し、マウスの各臓器へのリポソームの集積を評価した。結果として、炎症を起こした眼でのみリポソームの取り込みの増加を認めた。糖鎖-リポソームがEAUマウスの眼で正常マウスの眼の1.5倍の取り込みを認めたのは血管内皮細胞間隙の拡大によるものと考えられる(passive transport)。一方、糖鎖+リポソームがEAUマウスの眼で正常マウスの眼の6倍の集積(すなわち糖鎖-リポソームと比較して約4倍の集積)を認めたことは炎症部位に発現したE-セレクチン、P-セレクチンを標的としたためと考えられる(active transport)。 結果2:炎症臓器(眼)のどの部位にリポソームの集積が生じるかを組織学的に評価した。その結果、血管の最も豊富な脈絡膜毛細管板から糖鎖+リポソームの集積が開始され、時間とともに周囲の組織に拡散していくというリポソームの炎症部位での動態があきらかとなった。これは糖鎖+リポソームが炎症部位の血管に発現しているE-セレクチン、P-セレクチンを標的として集積し、その後、炎症により拡大した血管内皮細胞間隙を通って周囲組織に拡散していったものと考えることができる。一方、糖鎖-リポソームで明確な蛍光色素が観察できなかったのは、このリポソームの炎症部位への集積がpassive transportであるため、糖鎖+リポソームのように標的となって集積する部位がなく、個々ばらばらに組織に拡散していくためと考えられる。
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