研究課題/領域番号 |
15591855
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
大路 正人 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90252650)
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研究分担者 |
瓶井 資弘 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40281125)
生野 恭司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50294096)
田野 保雄 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80093433)
坂口 裕和 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80379172)
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キーワード | plasmin / 硝子体手術 / 化学的硝子体切除 |
研究概要 |
白色家兎を全身麻酔下に、前眼部の細隙灯顕微鏡検査、眼底検査を行ない、異常のないことを確認した上で、網膜電図を測定した。その後、硝子体内に右眼に4U/0.1ml(4U群)あるいは1U/0.1ml(1U群)のプラスミンを注入し、左眼に対照としてPBS/0.1ml(対照群)を注入した。翌日に、プラスミン投与前と同じ検査を行った。その後、眼球摘出し、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色および走査電顕で組織学的に検討した。 対照群では6眼全てで前房に炎症を認めず、硝子体内も清澄であった。1U群3眼中前房炎症を1眼に認めたが、硝子体混濁は認めなかった。4U群3眼中では前房炎症を全例に認め、硝子体混濁も全例に認めた。走査電顕による網膜表面の検討では、PBS注入の6眼全てに硝子体線維の付着を認めたが、1U群3眼中2眼および4U群3眼中2眼ではほとんど硝子体線維を認めなかった。HE染色ではいずれの標本にも網膜に異常を認めなかった。網膜電図の検討では、注入翌日のA波の潜時は4U群9.90±1.08ms、1U群10.50±1.67ms、対照群9.65±1.19msで3群の間に差を認めなかった。注入翌日のB波の潜時は4U群35.00±4.33ms、1U群29.20±5.28ms、対照群26.65±4.61msで4U群では対照群に比して優位に潜時が延長していた(p=0.035)。注入翌日のA波の振幅においては3群の間に優位な差を認めなかったが、B波の振幅においては4U群66.67±5.77μV、1U群121.11±22.19μV、対照群137.22±24.08μVで、4U群では対照群に比べ優位に低下していた(p=0.002)。これらの結果から、1Uのプラスミンが硝子体剥離を作成することが可能であり、かつ組織学的にも機能的にも安全であると考えられた。
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