研究概要 |
低酸素-再酸素化およびパラコート添加という2種類の酸化ストレス負荷の系を考え、この系において網膜色素上皮細胞内のhemeoxygenase-1(HO-1)の発現を確認したところ、再酸素化後経時的にHO-1の発現は上昇し、これら2種類の系が酸化ストレス負荷できていることを確認した。次いでこの系において培養網膜色素上皮細胞内のCTGFおよびMMP2が誘導されることをRT-PCR及びnorthern法にて確認した。さらにこれらの分子の誘導の経時変化をmRNAレベルと蛋白レベルで検討したところ、低酸素-再酸素化の系では、再酸素化後60分までは経時的にCTGF mRNAは増加していた。MMP2は再酸素化後5分でmRNAの発現上昇がみられ、以後も持続していた。CTGF蛋白は再酸素後2時間で、MMP2は1〜2時間でピークを認めた。パラコート負荷の系では、パラコートを添加する回数を1,3,5回として発現を検討すると、CTGFでは回数が増えるにつれ、MMP2では1回添加時が最も高い遺伝子レベル、蛋白レベルともに発現のピークをみた。これらのin vitroでの発現変化をvivoレベルでも確認するため、網膜への酸化ストレス負荷マウスモデルを作成した。ローズベンガルを静注したマウスの眼に光刺激を加え、網膜を摘出して遺伝子発現を調べると、HO-1及び両遺伝子の発現上昇を認めた。免疫組織染色では、CTGFについて視細胞外節から網膜色素上皮細胞にかけてシグナルが認められた。これらのデータより、網膜への酸化ストレスにより網膜色素上皮細胞においてCTGF,MMP2の発現上昇することが確認され、これらの分子が加齢黄斑変性発症と関連している可能性が示唆された。
|