研究課題
基盤研究(C)
1.Bral1ノックアウトマウス視神経ランビエ絞輪の組織学的・形態学的検討(1)ランビエ絞輪外マトリックス構造形成・維持への影響:光学および電子顕微鏡レベルでの観察により、ランビエ絞輪、側絞輪、髄鞘の構造およびアストロサイト突起のランビエ絞輪への接着には野生型と大きな変化は見られなかった。(2)Naチャンネルの分布に与える影響について:側絞輪の分子(例えばcaspr等)が欠損すると側絞輪の構造異常だけでなく、絞輪のNaチャンネルの集積、発生過程でのNaチャンネルのアイソフォームの変化異常が観察される。絞輪のテネイシンR分子を介したNaチャンネルへの影響の可能性が考えられたが、Bral1ノックアウトマウスでは影響はなかった。しかしながら、電気生理学的伝導速度には優意な速度減少が生じた。(3)新たな発見として、中枢神経の種類によってそのランビエ絞輪外マトリックスに局在するマトリックスタンパク質の種類が異なること、それらはBral1/Hapln2のノックアウトにより、ランビエ絞輪への局在が失われることを見つけた。2.ランビエ絞輪外マトリックス形成機構の解明:上記Bral1/Hapln2ノックアウトマウスに加え、テネイシンRノックアウトマウスなどと比較し、ランビエ絞輪外マトリックス形成機構を検討した。総括すると、ランビエ絞輪外マトリックス分子は傍絞輪形成(特にセプテイトジャンクション)やNaチャンネルのクラスター化には影響を与えないが、絞輪外のマトリックス環境には大きな変化をもたらす。これらの形成分子はランビエ絞輪外に局在するヒアルロン酸に依存するものであり、それをさらに安定化するものとしてBral1/Hapln2が重要な役割をはたすものと考えられる。現在のところ、ランビエ絞輪外のイオン環境を制御しているという仮説を立てている。今後の課題として、この微小環境でのイオン濃度変化の計測・検出法の開発検討が考えられる。
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