研究課題/領域番号 |
15591860
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
白神 史雄 香川大学, 医学部, 教授 (50187530)
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研究分担者 |
廣岡 一行 香川大学, 医学部, 助手 (10325350)
村田 晶子 香川大学, 医学部, 助手 (10372723)
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キーワード | 羊膜 / 培養網膜色素上皮細胞 / 網膜色素上皮細胞 / 増殖硝子体網膜症 / 羊膜移植 |
研究概要 |
今年度は、増殖硝子体網膜防止の目的で、網膜裂孔の露出網膜色素上皮を羊膜でカバーし、網膜色素上皮細胞が硝子体腔へ散布されることを防ぐ術式の検討を行った。 手術方法としてさまざまな検討を重ねた結果、以下の方法が手術終了の時点で完全に網膜裂孔の部を羊膜でカバーすることを可能にすることが判明した。実験動物は有色家兎を用いた。通常の3ポート硝子体手術で硝子体を可能な限り切除したのち、人工的にBSSプラスを網膜下に注入することにより5-10乳頭径程度の網膜剥離を作成した。次いで、硝子体カッターで数乳頭径の大きさで網膜切除を行い、大きな網膜裂孔を作成した。乾燥羊膜を適当な大きさに切断したのち、眼内鉗子で眼内に挿入の後、双手法で切除した網膜裂孔を完全にカバーし、辺縁の網膜剥離の下に羊膜を挿入した。その後に液-空気置換を行い、網膜を復位させたのちに、網膜裂孔周囲に眼内レーザー光凝固をおこなった。最後に20%六フッ化硫黄ガスで眼内を置換して手術を終了した。 術翌日には網膜は復位し、羊膜も完全に網膜裂孔に部をカバーしていた。ところが術7日目になると、網膜は剥離し、羊膜も一部は網膜色素上皮と接着しているものの大部分は網膜色素上皮から分離し、網膜裂孔部の露出網膜色素上皮をカバーできていない状況になった。術後14日目になると完全に網膜は剥離し、また移植羊膜も網膜色素上皮から完全に剥離していた。なお術翌日、7日目、14日目いずれにおいても眼内には羊膜に対する特異な反応は組織学的に全くみられなかった。 うまく接着できなかった原因としては、臨床例と異なり、兎では膨張ガスが網膜裂孔部に接触するような体位を保持することが不可能で、そのためにレーザー凝固による癒着が生じる前にガスが減少してしまうことが考えられた。
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