研究概要 |
〔研究目的〕 加齢黄斑変性(AMD)は高齢者の失明原因の多くを占める疾患であるが、検査法の発達により、従来AMDと診断されていたものの半数近くはポリープ状脈絡膜血管症(PCV)であることが報告されている。両疾患ともに脈絡膜・ブルッフ膜を主体とした病理変化が基盤にある類縁疾患と考えられているものの、PCVはAMDと較べてより大きなレベルの脈絡膜血管が病態に関係しているのではないかという予想のもと、脈絡膜血管内皮細胞に着目し、PCVの病態研究を進める。 〔研究によって得られた成果〕 インドシアニングリーン蛍光眼底造影検査を用いたPCV症例の観察により、病巣の構成成分であるポリープ状血管は、拡張した脈絡膜の血管であり、これらの血管が閉塞・狭窄することに伴い側副血行路や新生血管が形成されて異常血管網を成している可能性があることをGraefe's Archive for Clinical and Experimental Ophthalmologyに投稿し、印刷中である。(Okubo A, Sameshima M, Sakamoto T ; Plasticity of polypoidal lesions in polypoidal choroidal vasculopathy) また、有色ラットの眼球に熱凝固を行い、脈絡膜血管を閉塞させてポリープ状血管を作成する実験を試みており、蛍光造影検査や形態学的手法を用いて、時間的な経過を観察中である。
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