研究概要 |
[研究目的] ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)は、近年本邦でも報告が相次ぎ、従来加齢黄斑変性(AMD)とされてきた症例の中にはPCVと診断すべき特徴を備えた症例が多いことが明らかになった。AMDと較べて視力予後は良好とされているものの、臨床症例の蓄積に伴い、予後不良の症例も多いことが分かっている。有効な治療法の確立は急務であるにも関わらず、未だ標準的な治療は確立されていない。疾患の発症原因として、脈絡膜細胞の構造の特殊性が関与していると我々は考えている。本研究では、脈絡膜血管の特徴を分析し、病態の解明・治療開発を行うことを目的とした。 [研究によって得られた成果] 1.PCVの脈絡膜血管の特殊性 (1)異常血管網の形成 PCVでは経過観察中に脈絡膜血管が閉塞・狭窄することにより側副血行路や新生血管が形成されて異常血管網を成している可能性を検討し、結果をGraefe's Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology (242:962-5,2004)に発表した。 (2)ポリープ状血管の拍動 PCVおける拍動を示すポリープ状血管の頻度・特徴を検討し、血管の拍動がPCVに特有な現象であることを確認した。結果はOphthalmologyに投稿し、現在印刷中である。 2.PCVの治療 テノン嚢下にtriamcinolone acetonideを注入することにより視力の向上が得られることが分かった。 結果はGraefe's Archive for Clinical and Experimental Ophthalmologyに投稿し、現在印刷中である。
|