研究概要 |
研究テーマ 春季カタル患者巨大結膜乳頭におけるIgE陽性-およびオステオポンチン陽性活性化樹状細胞の密度の解析 巨大乳頭を有する春季カタル患者から巨大乳頭を切除ないしブラッシュサイトロジーの方法によって標本を採取した。対象は6例で,男性5例,女性1例であった。検体に対して,低親和性IgE受容体マーカー(CD23),活性化樹状細胞(CD83),ランゲルハンス細胞(CD1a)およびオステオポンチンに対するモノクローナル抗体による2重染色組織学的検索および2カラーフローサイトメトリーによる検索を行った。 IgE陽性活性化樹状細胞はアトピー性皮膚炎合併成人例の結膜上皮内および上皮下に見られた。オステオポンチン陽性活性化樹状細胞はほぼ全例で見られたが,臨床スコア25以上の重症例でその密度が高い傾向があった。IgE陽性ランゲルハンス細胞はアトピー性皮膚炎合併例の結膜上皮下に見られたが,全例ではなかった。オステオポンチン陽性ランゲルハンス細胞は小児例で見られたが,発現密度は低かった。フローサイトメトリーによる結果は2重染色組織学検査結果と同様であったが,IgE陽性活性化樹状細胞は病態が活動性と考えられる症例で特に明らかな細胞集団を形成していた。 以上から春季カタル巨大結膜乳頭にはランゲルハンス細胞や樹状細胞が広く見られ,その中でもIgE陽ランゲルハンス細胞とオステオポンチン陽性活性化樹状細胞の重症化との関わりが示唆されたが,この両者は分布に一致しないところがあり,異なる免疫学的背景の存在が示唆された。
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