研究概要 |
[目的]実験的アレルギー性結膜炎モデルにおける抗原刺激による結膜樹状細胞の発現の変化と接着分子,サイトカイン及びオステオポンチンのin vivoにおける変化を解析した。[方法]ランゲルハンス細胞においてその発現が認められている接着分子にはE-cadherinやintegrinがある。OVA(卵白アルブミン)感作による実験的マウスアレルギー性結膜炎において,全身感作14日後にOVA点眼刺激によってアレルギー性結膜炎を発症させ,発症後の結膜上皮内のCD83陽性活性化樹状細胞のE-cadherinやintegrinおよびMHC II, costimulatory molecule,オステオポンチンの発現をそれぞれ,経時的に免疫組織化学的に検討した。また樹状細胞の大型化がどの時点まで見られるか,所属リンパ節におけるオステオポンチン陽性樹状細胞の発現についても合わせて検討した。[結果]結膜上皮内CD83樹状細胞はOVA感作10日後から発現が見られ,OVA点眼刺激後にさらに増加して,点眼後2日目に最も多く見られた。さらに,E-cadherin陽性細胞はOVA感作11日後と,早期からの出現が見られた。Integrin陽性細胞はMHC II陽性細胞と同様に,やや遅れて,OVA感作13日後から出現していた。一方,costimulatory moleculeとオステオポンチン陽性の樹状細胞はOVA点眼刺激後から出現しており,そのピークはOVA点眼2日後で,臨床所見が最も強い時期とほぼ一致していた。以上より,結膜アレルギー反応における樹状細胞の活性化においては,その初期段階の成熟反応において,E-cadherinとintegrinは主要な役割を担っており,これに対しcostimulatory moleculeやオステオポンチンは炎症の進行においてその機能の発現を示していることが示唆され,アレルギー反応の時期に応じた複雑な機序によって,樹状細胞が炎症の重症化に関与していることが推測された。
|