研究課題
基盤研究(C)
【目的】小児悪性固形腫瘍におけるβ-cateninの関与を明らかにすることを目的とした。【対象】1982年から2004年の当科自験小児悪性固形腫瘍54例(神経芽腫29例、肝芽腫10例、腎芽腫12例、大腸癌1例、胆管癌1例)を対象とした。【方法】免疫組織学的手法を用いβ-cateninタンパクの発現解析を行った。各腫瘍組織のパラフィン包埋ブロックより5μmの切片を薄切りし、抗β-cateninマウスモノクローナル抗体を用いたSAB法による免疫染色を行い、腫瘍細胞の核および細胞質での染色を発現異常として検討した。【結果】神経芽腫症例では29例全例とも腫瘍細胞の核および細胞質いずれにも異常集積を認めなかった。肝芽腫症例では、10例中、核および細胞質に強い染色を認めたものは6例(60%)で、細胞質のみに染色を認めたものは2例だった。腎芽腫症例では12例中3例(15%)に細胞質に集積を認めたが、核内への集積は全例で認められなかった。大腸癌症例、胆管癌症例はいずれも腫瘍細胞の核および細胞質に異常集積を認めなかった。【考察】明らかなβ-catenin発現異常を示したものは肝芽腫のみであった。発現異常を認めた6例の病期は、stage I 1例、stage IIIA 3例、stage IV 2例で、進行症例に多い傾向を示した。今回対象とした肝芽腫10例中、生存例は6例で、そのうち発現異常を認めたものは5例、死亡例は4例で、発現異常を認めたものは1例であり、βカテニン発現異常は腫瘍形成に関与してはいるものの、予後に関連しないことが示唆された。神経芽腫はβ-catenin発現異常と関連が認められなかった。腎芽腫では核内への集積が認められず、発現異常との関連は低いと考えられた。大腸癌症例、胆管癌症例は症例が少なく、今後の検討が必要と考えられた。
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