(1)マグネシュウムフェライトを径100nm以下に小粒子化し、これをリポソームに包埋することを試みた。しかし、マグネシュウムフェライトはうまく分散されず、リポソーム包埋が技術的に困難であった。そこで、マグネシュウムフェライトを針状化して投与する方法を考按した。 (2)マグネシュウムフェライトにcarboxyl methyl celloseを加えて自然乾燥させて、stickを作製した。径を0.8mm 1.2mm 1.7mmとし、18G注射針の外筒からの投与を可能とした。乾燥状態では540kHz、2Kwの高周波磁場で100〜150℃までの温度上昇を認めた。 (3)ラット皮下腫瘍モデルを作製し、この腫瘍内にstickを留置し誘導加熱を行った。30分加熱では+10℃前後までの温度上昇を認めた。誘導加熱後に経時的に腫瘍サイズを測定したところ、7匹中6匹で腫瘍の縮小を認めた。 (4)深部臓器への温度上昇はさらに緩徐になるため、正常肝にstickを留置周囲の焼灼を組織学的に検討した。さらにラット肝癌モデルに対しstickを留置し高周波を印可したところこちらも縮小効果を認めた。 (5)固形腫瘍に対するhyperthermiaおよびablationとしてRFAあるいはMCTで困難な領域、血管脈管の付近、と言った部位に対し効果を上げることができるのではないかと考えられる。さらに発熱効率のよい物質を使用すれば焼灼範囲をコントロールできると思われる。
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