研究課題/領域番号 |
15591889
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
益田 宗孝 九州大学, 大学病院, 講師 (10190365)
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研究分担者 |
徳永 滋彦 九州大学, 大学病院, 助手 (80346775)
西田 誉浩 九州大学, 大学病院, 助手 (50284500)
森田 茂樹 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (70243938)
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キーワード | 胎児心臓手術 / 体外循環 / 胎盤機能 / 臍帯動脈 / 血管内皮機能 |
研究概要 |
近年における新生児や乳児における心臓手術成績の向上には、小児における体外循環法の確立が大きく寄与している。胎児期に心臓手術を施行する場合にも体外循環を行うことが必須であるが、胎児循環は新生児や乳児と異なり、極度の低酸素環境下にあり、新生児や乳児とは全く異なる循環生理及び分子生化学により成立している。また、母体との交差灌流を担っている胎盤の機能は繊細で且つ複雑な調節機構により維持されているが、体外循環を施行した場合に、これら胎児循環や胎盤機能が示す病態生理については未だ解明されていない点が多い。本研究の目的は安全な胎児の体外循環法を確立させるために、体外循環時の胎児と胎盤の病態生理を解明し、その対策を講じることであり、特に臍帯と胎盤の血管内皮細胞機能の面での検討を行うことを目的としている。 平成13〜14年度の科学研究費補助金基盤研究C-般において、羊胎児における体外循環を確立することに成功し、体外循環により臍帯動脈血管機能の内、内皮非依存性機能は保たれるものの、内皮依存性機能が障害されることを解明した。平成15年度の研究においては、炎症性蛋白や接着因子などの蛋白の発現と胎盤機能について検討を加えた。母体胎盤を使用した30分の胎児常温体外循環のモデルを用い、体外循環終了後1時間の時点において胎盤におけるIL-6、iNOS、prepro endothelin 1、HIF1-alpha、ICAM-1の発現の有無をRT-PCR法を用いて検討した。結果、prepro endothelin 1とHIF1-alphaにおいて蛋白発現の傾向を認めるものの、炎症性蛋白や接着因子などの有意な発現を認めるまでには至らなかった。そこで、今回検討した炎症性蛋白や接着因子が、胎児体外循環における胎盤機能異常に与える影響は少ないと判断した。現在は、endothelin receptor blockerのTAKを用いて、endothelinが胎盤および臍帯機能に与える影響を検討しているが、endothelin receptor blockerにより臍帯動脈の内皮機能が保持されるという知見を得つつあるので、平成17年度の最終報告では、その結果を報告する予定である。
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