現在までのところラット(DA-PVG間)による肝移植実験習得を目指し、まずはSD系ラットでの肝移植実験を行っているところである。ラット肝移植実験は現在のところ10例行いようやく1例が術後数時間生存しえたところである。 生体肝移植手術時における逆行性静脈灌流の意義 肝静脈は解剖学的な位置関係より右心房の影響を受けto-and-froの血流であり、流入血を遮断した場合でも肝静脈より酸素化が図られているといわれている。このため生体肝移植時に門脈、肝動脈吻合前にまず静脈を吻合し、逆行性静脈灌流を行うことにより阻血時間短縮につながるのではないかと考え、現在数ヶ所の施設で行われているが実験的証明はいまだなされていない。SD系ラットを使用し流入血遮断群と流入血、流出血同時遮断群を作成し障害の程度を比較した。結果は60分の遮断において再灌流後60分、120分のGOT、GPT、LDHの値が流入血遮断群に比べ流入血、流出血同時遮断群のほうが高値となっていた。 肝虚血再灌流障害時における脾臓摘出の意義 静脈血を門脈に流出させる実質臓器は脾臓、膵臓、腸管の3つである。そこで門脈系臓器と肝臓との臓器相関作用を調査するために肝障害時における脾臓の役割について検討した。8週齢SDラットを用い脾摘を行った直後に60分の肝流入血遮断を行ったところ再灌流60分後の時点において脾摘をしない群と比べてGOT、GPT、LDH、TNF-Alphaは低値であった。
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