研究課題/領域番号 |
15591892
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
池田 均 獨協医科大学, 医学部, 教授 (10326928)
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研究分担者 |
高安 肇 獨協医科大学, 医学部, 講師 (10359614)
石丸 由紀 獨協医科大学, 医学部, 講師 (30233430)
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キーワード | 肝芽腫 / 低出生体重児 / 酸素 / DNA酸化障害 / 8-OHdG / Superoxide dismutase / β-catenin |
研究概要 |
肝芽腫の切除標本を用いて非腫瘍部の肝組織におけるDNA酸化障害の指標である8-hydroxy-2'-deoxyguanosine (8-OHdG)の有無を免疫組織化学的に検索すると、肝小葉内、特に門脈域の肝細胞の核および細胞質に8-OHdGが検出される。一方、非腫瘍性の肝疾患では8-OHdGが肝小葉内に同定されるが、その分布の様式は肝芽腫例と異なるため、'両者におけるDNA酸化障害の原因が異なると推察された。一見、正常と思われる非腫瘍部の肝組織内に8-OHdGが検出されることから、DNA酸化障害の結果、肝芽腫が発生したとも考えられる。しかし、8-OHdGの存在は肝芽腫に特異的でなく、しかも低出生体重児の肝芽腫にも特異的ではなかった。 ラットの肝細胞を震盪法または還流法で採取し、これを初代培養した。培養細胞を高濃度酸素に曝露すると生後1日目の新生児ラットでは培養液中の8-OHdGが時間依存性に増加した。しかし、生後数週あるいは数カ月を経過したラットの肝細胞では同様の現象は認められない。また、superoxide dismutase (SOD)の活性を測定すると新生児ラットの肝細胞ではその活性が有意に低い。実際にコメットアッセイを用いてDNAの断片化した細胞を検出してみると、幼弱ラットの肝細胞ほど酸素曝露によりDNAの断片化が陽性となった。以上の結果は新生児ラットでは抗酸化酵素活性が低くそのためにDNAが酸化障害を受けやすいことを示唆している。 続いて同様に培養した新生児ラットの肝初代培養細胞を高濃度酸素あるいは低濃度酸素に暴露し、β-cateninの遺伝子変異が誘導されるかに関しdirect sequencing法を用いて検討をおこなった。現時点でこれら培養条件下でβ-cateninの遺伝子変異が誘導されるとの結果は得られていない。
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