研究課題/領域番号 |
15591897
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉本 信也 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (90220748)
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研究分担者 |
野村 純 千葉大学, 教育学部, 助教授 (30252886)
喜多 和子 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (80302545)
一瀬 正治 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (90082156)
杉田 克生 千葉大学, 教育学部, 教授 (40211304)
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キーワード | 周期性伸展 / p38 / JNK / MAPキナーゼ / ケロイド / 線維芽細胞 / リン酸化 / 細胞外マトリックス |
研究概要 |
外科治療により得られた皮膚組織を用い、ケロイドおよび正常組織由来の初代培養系線維芽細胞をえた。これらの細胞をコラゲンコートしたシリコン膜上に播種し、接着後伸展刺激を加えた。伸展はスカラテックNS-500を用い、1軸方向に120%伸展した。伸展のパターンは持続および周期性伸展(6〜15サイクル)をおこなった。この条件下で経時的に細胞を回収し、タンパク質を抽出後Western blot解析した。この結果、15サイクルの伸展刺激によりMAPKの一員であるp38のリン酸化が正常組織由来線維芽細胞では4から6時間にかけて軽度に認められるのに対して、ケロイド組織由来線維芽細胞では6時間以降に顕著に誘導されることが明らかとなった。一方、JNKのリン酸化も正常組織由来線維芽細胞では明らかでないのに対し、ケロイド組織由来線維芽細胞では4時間以降誘導されることが示された。これまでにMAPKのリン酸化の時間的差が細胞増殖および細胞死誘導への質的な差を生み出すとの報告があり、今回の結果はケロイドの特異性を示唆するものと考えられる。一方、この期間ではこれら分子のトータルのタンパク質量は変化していないこともわかった。更に、これらの変化は伸展の周期に依存性であることを示唆するデーターも得られている。このことはケロイドを発症する人において、前胸部などの好発部位が存在することと何らかの関連がある可能性が予想される結果である。現在さらに、伸展刺激による正常およびケロイド組織由来線維芽細胞における差を細胞外マトリックス産生を含む性状の変化について解析している。
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