研究概要 |
頭蓋顔面骨領域では、膜性骨化により骨の新生吸収が行われる。ヒトの四肢長管骨で臨床的に応用されている人工骨を用いて、頭蓋顔面骨領域で応用可能か、また人工骨を用い頭蓋骨の伝導能の検索も行った。一般に骨膜、硬膜、頭蓋の各縫合部がそれに関与していると言われている。そこで骨伝導能に優れているβ-3リン酸カルシウム(以下β-TCP)を用い、頭蓋骨において骨伝導能がどの部位からみられるかを観察した。方法:以下の4群に分類し実験を行った。1群:コントロール群:頭頂骨に直径10mmの円形骨欠損部を作成する。骨欠損部にはβ-TCPの円形のブロックを充填し、骨膜、硬膜を温存。2群:骨膜欠損群:頭頂骨に直径10mmの円形骨欠損部を作成する。骨欠損部にはβ-TCPを充填するが、骨膜を骨欠損部と同様の大きさの欠損部を作成する。3群:硬膜欠損群:頭頂骨に直径10mmの円形骨欠損部を作成する。骨欠損部にはβ-TCPを充填するが、硬膜も骨欠損部と同様の大きさの欠損に作成する。4群:骨膜・硬膜欠損群:頭頂骨に直径10mmの円形骨欠損部を作成する。骨欠損部にはβ-TCPを充填するが、この群では骨欠損部と同様の大きさの骨膜と硬膜の欠損部を作成する。1群5羽とし、それぞれの1〜4群に対して1,2,6,12週後に標本を作製し組織学的観察を行った。第48回・第49回形成外科基礎学会において報告した。結果は、補填後6週で一時的に大量の新生骨が形成され、12週から材料面積率が減少する。補填後6週では、材料面積率・新生骨面積率ともに、いずれの群もばらつきがあり一定した傾向がみられなかった。補填後12週では、材料面積率は1群<2群<3群<4群の順で低く、新生骨面積率はどの群も余り変化がなかった。本実験において骨形成を促す傾向は骨膜側と硬膜側にみられた。また骨新生の方向は、骨周囲と硬膜と接した面からみられる傾向が示唆された。
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