研究課題/領域番号 |
15591903
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
武石 明精 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (00256405)
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研究分担者 |
石田 勝大 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30286033)
森 克哉 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (70366277)
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キーワード | 膵臓移植 / 血管新生 / 糖尿病 / マイクロサージャリー |
研究概要 |
本研究では、prefabricationを行った膵臓移植後のランゲルハンス島の機能の指標として血糖値と尿量を測定した。手術侵襲による術直後の血糖値への影響、血糖値の日内変動によるデータのばらつきがないか、さらには尿量がどの程度ランゲルハンス島の機能を反映しているか、さらには手術後の体重の変化が術後の食物摂取量を正確に反映しているかを調べることを目的とした。まず予備実験としてこの実験をラットをモデルとして行った。結果;食餌を与える時間と血糖値を測定する時間をすべて統一すれば、術後のラットの血糖値の日内変動の影響はなかった。しかし、各個体間で食餌を投与してから摂取するまでに時間差があり、そのばらつきは少ないものの、各グループ3個体以上を用い、データを採取し平均値を取ることにより、その影響は回避できた。さらに手術侵襲の血糖値への影響は術当日のみであり、翌日からはほぼ影響しないと判断できた。体重の変化は、実験群によっては術後早期に死亡する個体が多く、その群では明らかな変化は認められなかった。しかしランゲルハンス島の機能低下で低血糖になり、死亡する群では体重の減少が、ランゲルハンス島が機能し血糖値が保たれている群では体重の増加もしくは維持がみられた。そのため、術後の体重測定は移植後のランゲルハンス島の機能を観察するうえで、ひとつの指標になるといえる。ラットモデルによる本研究では、prefabricationを行う際のキャリアーを腹直筋と腹壁筋膜を比較したところ、腹壁筋膜を用いた群の方が術後の生存率もよく、血糖値の維持もよかった。同様の実験モデルをサルを用いて行った。サルは個体が大きいため、腹壁筋膜ではなく腹直筋で十分膵臓が覆えるので、腹直筋を使ったモデルにした。2回目の術後2週間、血糖は安定しており、ラットと同様の結果が得られた。今後は、採取した標本の病理組織学的検索を主体に研究を進める予定である。
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