本研究では、熱傷及び難治性皮膚潰瘍の様な広範囲皮膚欠損の創傷治癒期間を飛躍的に短縮させる技術の確立を目指した。従来真皮組織欠損を伴う皮膚欠損は従来型の培養表皮移植ではその生着効率は低く実用に堪えなかったが、今回の考案による特殊真皮成分含有再生皮膚がその欠点を補完し得る可能性があった。すなわち、皮膚構成細胞である表皮細胞と真皮細胞を混合立体培養し、疑似真皮上に表皮を覆う事で完全な再生皮膚を培養環境下で作製した。この時、真皮成分には特殊な生体高分子マトリクスを用いた。このマトリクスは、従来皮膚構成細胞の培養に際し、中性蛋白分解酵素の作用で分解してしまう欠点を補い、蛋白分解酵素活性抵抗性を示す、全く新しい素材である。これらの知見から本研究遂行過程において、皮膚欠損治療における全く新しい新技術を得るに至ったが、本研究結果は今後の新薬開発に関わる重要知見であり、特許申請を視野に入れた研究展開が必要と考えられ、その公表を差し控えたい。
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