研究概要 |
骨形成タンパク(BMP)は軟部組織内に骨を生じる骨誘導能を有し、骨の再生医学の観点で将来の骨再建の臨床応用が期待されている。BMP埋入およびBMP遺伝子をもつアデノウイルスベクター(AVV-rhBMP-2)感染により前臨床のための実験検討を行い、埋入領域の骨形成と組織内にも存在するbFGFの用量を変えて追加した場合の骨形成を検討することを計画した。 1)rhBMP-2の調整:rhBMP-2(2,10,50μg)とatelopeptide type I collagen(1mg/1ml)を混和したものを凍結乾燥し、埋入材として調整した(rhBMP-2-CL)。 2)rhBMP-2遺伝子を有すアデノウイルスベクター(AVV-rhBMP-2)の調整:rhBMP-2遺伝子をcosmid vectorに組み込んだ。一方、一般細胞内では増殖しないようにΔ1,Δ3領域を欠失させたアデノウイルスを作成し、前出のcosmid vectorと共にHEK293細胞にco-transfectionさせた。ここで生じるAVV-rhBMP-2をHEK293細胞内で増幅させ(COS-TPC法)、AVV-rhBMP-2の粗精製まで行った。 3)埋入実験と標本採取:ラット下腿筋肉内を埋入床とし、rhBMP-2-CLを埋入した。3週後、組織を切り出した。また、bFGF(低、中、高用量)と混和して、骨誘導の変化を検討した。 4)組織反応:通法に従いHE染色組織標本を作り、誘導骨の形成と埋入周囲の組織学的検討を行った。 5)以上を総括し、rhBMP-2-CLによる誘導骨の様態を評価した。bFGFの微量混和では、コントロールと比較して骨誘導は促進され、中等量、大量では骨誘導は抑制された。
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