研究概要 |
MSC同種異系移植にrhBMP-2を併用した骨再生ラットモデルにおいて、免疫抑制薬(FK506)の投与条件による骨形成の違い、また、移植細胞の骨形成における役割の検討を目的に本研究を行った。同種異系移植モデルとしてLewis雄ラットの間葉系幹細胞をコラーゲンtype1による三次元培養を行い,移植可能な形態を作成した.雌の近交系ラット(Brown Norway、N=48)に大腿骨部分欠損(骨移植による通常の治療では治療困難な偽関節モデル)を作成し、細胞を移植した。移植時には骨形成因子(rhBMP-2)を同時投与した。免疫抑制剤としてはFK506(10mg/kg)を細胞移植時に1回だけ投与した群を作成した(N=20)。 術後2,4,6,8週でエックス線による骨形成および組織評価を行った。いずれも十分な骨形成が得られ、欠損部は骨癒合した。術後2週では線維骨、術後6週では層状骨を認めた。軟X線像の6ポイントスケールによる骨形成の評価では、コントロールとした同種異系移植モデルでFK506(1mg/kg)を2週間投与した群(N=20)および同種同系移植群(N=8)とは統計学的有意差は認められなかった。 FISHによる移植細胞の観察では、rhBMP-2併用ラットMSC同種異系移植では、FK506の単回投与により術後4-6週で移植生存細胞が少ないにも関わらず、2週間投与群と同程度の骨形成が得られた。このことより、移植細胞は術後早期の骨形成のみに関与しており、長期の免疫抑制は不要と考えられた。また同種異系移植であっても一度形成された骨は免疫抑制剤を中止しても吸収されないことが判った。
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