研究概要 |
本年度、我々はフォスフォ・ジエステラーゼ・インヒビターが、腹膜炎敗血症時の横隔膜機能低下に及ぼす影響についてin vitroにて検討した。フォスフォ・ジエステラーゼ・インヒビターであるrolipram、aminophylline, theophyllineは、腹膜炎敗血症時の横隔膜機能低下を改善した。細胞内のcAMPを測定した結果、ammophylline, theophylline投与は細胞内のcAMP濃度を上昇させた。またdibutyryl cAMP投与は、腹膜炎敗血症時の横隔膜機能低下を改善した。以上の結果より、フォスフォ・ジェステラーゼ・インヒビターによる、腹膜炎敗血症時の横隔膜機能低下を改善させる作用には、細胞内のcAMP濃度上昇が関与していることを明らかにした。 さらに、heat shock protein 70(HSP70)を細胞内に誘導するテプレテノンが、腹膜炎敗血症時の横隔膜機能に及ぼす影響について検討した。まずテプレテノン前投与により、横隔膜筋中においてHSP70が増加することを、ウエスタンプロッティング法により明らかにした。テプレテノン前投与により、腹膜炎敗血症時の横隔膜機能低下が拮抗された。活性酸素の代謝産物であるMDAの測定の結果から、テプレテノン前投与による腹膜炎敗血症時の横隔膜機能低下の拮抗作用には、HSP70による抗活性酸素作用が関与していることを明らかにした。
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