本年度、我々はβ2アドレノセプターアゴニストが、腹膜炎敗血症時の横隔膜機能低下に及ぼす影響についてin vitroにて検討した。 (1)腹膜炎敗血症時の横隔膜収縮力低下の原因を検討するために、蛍光抗体法を用い細胞内のカルシウムの濃度変化を測定した。腹膜炎敗血症時には、電気刺激に対する細胞内カルシウム放出の低下が認められた。すなわち、腹膜炎敗血症時の横隔膜収縮力低下の原因として、筋小胞体からのカルシウム放出の減少であることを明らかにした (2)次に、β2アドレノセプターアゴニストが、腹膜炎敗血症時の横隔膜機能に及ぼす影響について検討した。まず、薬理学的にcaffein、ryanodine、methoxy-verapamilが、β2アドレノセプターアゴニストの陽性変力作用に及ぼす影響について検討した。methoxy-verapamilは、β2アドレノセプターアゴニストの陽性変力作用に影響を与えなかった。caffein、ryanodineは、β2アドレノセプターアゴニストの陽性変力作用を抑制した。以上の結果より、β2アドレノセプターアゴニストは、筋小胞体からのカルシウム放出を促進しすることにより、腹膜炎敗血症時の横隔膜収縮力を改善させることを明らかにした。 (3)さらに、蛍光抗体法を用い、β2アドレノセプターアゴニストが、細胞内のカルシウムの濃度変化に及ぼす影響について検討した。β2アドレノセプターアゴニスト投与により、電気刺激に対する細胞内カルシウム放出の低下が改善された。
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