研究概要 |
我々は、以下の薬剤が腹膜炎敗血症時の横隔膜機能低下に及ぼす影響についてin vitroにて検討した。 1)phosphodiesterase阻害薬であるaminophylline, theophyllineは、腹膜炎敗血症時の横隔膜機能低下を改善した。細胞内のcAMPを測定した結果、aminophylline, theophylline投与は細胞府のcAMP濃度を上昇させた。以上の結果から、phosphodiesterase阻害薬による、腹膜炎敗血症時の横隔膜機能低下を歳善させる作用には、細胞内のcAMP濃度上昇が関与していることを明らかにした。 2)heat shock protein 70(HSP70)を細胞内に誘導するGeranylgeranylacetoneが、腹膜炎敗血症時の横隔膜機能に及ぼす影響について検討した。まずGeranylgeranylacetone前投与により、横隔膜筋中においてHSP70が増加することを明らかにした。Geranylgeranylacetone前投与により、腹膜炎敗血症時の横隔膜機能低下が拮抗された。活性酸素の代謝産物であるMDAの測定の結果から、Geranylgeranylacetone前投与による腹膜炎敗血症時の横隔膜機能低下の拮抗作用には、HSP70による抗活性酸素作用が関与していることを明らかにした。 3)pentoxifylline前投与により、エンドトキシンショック時の横隔膜機能低下が拮抗された。PentoxifyUine投与により、血清TNF-α濃度ならびに横隔膜筋中のMDA濃度も低下した。一方、細胞内cAMP濃度に有意な変化が認めちれなかったことから、pentoxifyllineはTNF-αを介した活性酸素の産生を抑制することにより、エンドトキシンショック時の横隔膜機能低下を改善することを明らかにした。
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