研究概要 |
エンドトキシン誘発麻痺性イレウス実験モデルを用い、麻痺性イレウス発現の生体内情報伝達機構における、内因性カンナビノイドの関与について検討した。 意識下・無拘束モルモットの腸管張力を、結腸紐に取り付けた圧トランスデューサーを介したテレメトリー法で観察した。エンドトキシン(リポポリサッカライド,LPS)腹腔内投与およびカンナビノイド(アナンダミド,AEAおよび2-アラキドノイルグリセロール,2-AG)腹腔内投与により、濃度依存性の結腸紐張力低下が観察された。LPSおよびカンナビノイド投与による結腸紐張力低下反応は、いずれも、カンナビノイドCB1受容体拮抗薬であるAM281前処置により抑制されたが、CB2受容体拮抗薬AM630により抑制されなかった。 また、LPS投与後のモルモット血漿中の内因性カンナビノイド濃度をLC/MS/MS分析により測定した。LPS投与後の内因性カンナビノイド濃度は、2-AG濃度がLPS投与後1時間で有意に上昇したが、AEA濃度は検出限界以下だった。 以上、LPS誘発麻痺生イレウスがCB1受容体拮抗薬により改善されたことから、LPS作用発現の情報伝達系にカンナビノイドCBI受容体を介する系が関与していることが示唆された。また、LPS投与後1時間で血中2-AG濃度が上昇したことから、エンドトキシン血症における内因性カンナビノイド系の関与が考えられた。
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